ぐうたら育児ドクトリン

私のあだ名は軍曹です、ここは育児雑記や書評のブログです

夢見る頃を過ぎても:『人生で大切なことはオカルトとプロレスが教えてくれた』の感想

オビの煽りに偽りあり、題名に偽りなし

一世を風靡するも今は見る影もなく、無事サブカルに軟着陸を果たした「オカルト」と「プロレス」を通し、大槻ケンヂさんと山口敏太郎さんが「人生において大切なこと」を語る、在りし日のオカルトファンにとっては夢のような一冊です。

「とにかく笑える!昭和あるある。」とオビにデカデカと書かれていますが、笑える類の本ではありません。
お二方ともいたって真面目に語っておられますし、なんなら読んでいるこちらも大真面目です。
表紙のセンスはいいのに、オビのセンスはやや悪い。……うん、そのバランスは嫌いじゃないです。

オカルトとのほどよい距離感

「あれ? オカルトって嘘っぱちじゃね?」「プロレスってヤラセじゃん?」と斜に構えてしまう以前、私たちオカルト好きには「ビリーバー」だった瞬間、夢中の人だった頃が確かにあった。
そしてビリーバーだった子ども時代は、本当に世界が面白かった。

ただ、ある時期からオカルトに「期待」をすることができなくなり、それが90年代のしらけた空気とあいまって、アンチオカルトが蔓延し、やがてぼんやりとオカルトの時代は霧散していった。

けどまた今、オカルトはプロレスと同様の文脈で「エンターテイメント」として自分の中に定着し始めている。
ああ、これが成熟ということか。オッサンになるのって素晴らしい、壮年万歳!

……という趣旨のことを、かつてのサブカル小僧どもに向けてお話ししてくださっているというのが、大方の筋です。
それ以外でもそれ以下でもありません。
本の構成も、必要十分で美しい。

  • 第1章 僕たちの子供時代は怪しいものだらけで輝いていたんです
     =少年時代:ただただ楽しかったビリーバーの頃
  • 第2章 90年代は混沌とアンチオカルトの時代になりました
     =青年時代:世界のトリックに気づき、オカルトに幻滅したアンチの頃
  • 第3章 いま僕たちはいい感じでオカルトと付き合えています!
     =壮年時代:信じる信じないではない、全てを楽しむ趣味人の頃

この変遷こそが、人生においてとっても大切なことだと。
少なくとも私のようなオタクの人間からすると、賛同以外に他はないお話です。

好きモノは黙って買う、そうでない人は見向きもしない本

大槻ケンヂさんか山口敏太郎さんのファンで、表紙にビビっときたら読めばいいと思います。
だいたい買って後悔しません。

私は「3年も前にこんな本が出てたなんて……気づいてなかった、早く教えてよ、もぅ〜」と言いながら、即ポチした人間です。
他の気づいていない同好の士に少しでも拡散するため、広いWEBにちょっとした1ページの記事を残しておきました。
さあ、気づいていなかった人は即ポチすればいい。

あ、オカルト・プロレスに興味もなく、大槻ケンヂさんか山口敏太郎さんのファンでもない人は、買わなくていいです。
人生の大切なことは、他の人から教えてもらってください。
好きでのめり込んでいたからこそ、ココから教えてもらえる、これはそういう類の本です。

【次の一冊】『ムー 2018年9月号』(ムー編集部)

みんな大好き「ムー」の最新号です。
今号のトピックは「ホピの終末予言と失われたムー大陸の謎」「奇跡のバナナ」「緊急警告!!仮想通貨の大陰謀 ナスカ異人類のクリスタル・ピラミッド」「人体蘇生の再生医療 タコは地球外生命体だった!!」です。どれもこれもセンセーショナルな話題ばかりですね。
そう、ムーは、あの頃から何も変わらずそこにいる。
常に移ろいゆくのは、私たちの立ち位置だけです。
ところで連載の「辛酸なめ子の魂活巡業」って、辛酸なめ子さん何してるんすかね?

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私は貧乏性なので、読む本が尽きた時にKindle Unlimitedを始める予定です。